ディグリーから作るメロディーとコード進行|DTMで個性的な楽曲を作る方法
DTMで作曲をしていると、「コード進行は作れるけれど、メロディーがうまく乗らない」「コード進行がどうしても似たようなものになる」と悩むことがあります。
こうした問題を解決する方法の一つが、メロディーとコードを最初から一緒に考えないことです。
今回の楽曲制作では、まずディグリー(度数)を基準にメロディーを作り、その後からコード進行を当てはめる方法を実践しました。
さらに、定番の小室進行をSus2・Sus4やセブンスコードで変化させ、メロディーとコードがぶつかった場合には、ボイシングやコードそのものを調整していきます。
今回は、この制作過程を通して、DTMでメロディーとコード進行を作る際に役立つ考え方を解説します。
この記事は「DTMコード進行の作り方|ディグリー理解で“王道進行”から抜け出す方法」の関連記事です。コード進行・音楽理論の全体像はリンク先の記事でまとめて解説しています。
- メロディーは「コード」ではなく「ディグリー」から作る
- まず「出発点」と「終着点」を決める
- 「明るいメロディー」と「暗いメロディー」は重心で変えられる
- 安定したメロディーに「ブルーノート」を加える
- 16分音符を入れすぎない
- 小室進行をそのまま使わず、Sus2・Sus4で変化させる
- 定番コード進行は「素材」として使う
- コードとメロディーがぶつかったら、原因を探す
- スケール外の音が原因とは限らない
- 代理コードを使って響きを変える
- ボイシングを変えるだけでもコードは別物になる
- メロディーとコードは「後から組み合わせる」ことができる
- Aメロ・Bメロ・サビを組み合わせて曲の骨格を作る
- まとめ:作曲では「正解を探す」より「選択肢を増やす」
メロディーは「コード」ではなく「ディグリー」から作る

メロディーを作るとき、最初からコード進行を細かく決めてしまう方法があります。
もちろん、それでも問題ありません。
しかし、コード進行を先に固定すると、「このコードだから、この音しか使えない」という制約が強くなり、メロディーが似たような形になってしまうことがあります。
そこで今回は、コードを細かく意識せず、ディグリーを基準にメロディーを作りました。
ディグリーとは、キーの中で音を何度と数えるかという考え方です。
例えばGメジャーなら、
1度=G
2度=A
3度=B
4度=C
5度=D
6度=E
7度=F#
となります。
メロディーを作る段階では、「Gという音を使う」という固定された考え方ではなく、「1度から始める」「5度へ移動する」といったように、度数で旋律を考えます。
この方法のメリットは、後からコード進行を変更しやすいことです。
まず「出発点」と「終着点」を決める

メロディーをゼロから作る場合、最初からすべての音を決めようとすると迷いやすくなります。
そこで有効なのが、
「最初の音」と「最後の音」を先に決める
という方法です。
例えば、フレーズの最後をG(1度)にすると決めたら、そこへ向かうまでの音を後から埋めていきます。
これは、絵を描くときに最初に補助線を引いておく感覚に近い方法です。
すべてを自由にするのではなく、最初と最後に基準点を作ることで、その間のメロディーを考えやすくなります。
特に1度・3度・5度は安定感のある音なので、メロディーを作り始めるときの基準として使いやすい音です。
一方、途中であえて安定しない音へ移動させることで、メロディーに緊張感や表情を作ることもできます。
「明るいメロディー」と「暗いメロディー」は重心で変えられる

同じキーの中でも、どの音をメロディーの中心として扱うかによって印象は変わります。
明るい印象を作りたい場合は、メジャーキーの1度を重心として意識します。
反対に、暗い印象を作りたい場合は、並行短調の1度へ重心を移す方法があります。
つまり、使用している音が大きく変わらなくても、「どこを中心として聴かせるか」によって印象を変えられるということです。
これは、単純にメジャーコードとマイナーコードを入れ替えるだけでは作れない、メロディーそのものによる感情表現です。
安定したメロディーに「ブルーノート」を加える

今回制作したメロディーでは、キーGに対してBbが使われていました。
Gメジャーの3度はBですが、それを半音下げたBbは♭3にあたります。
このような音はブルーノートとして機能し、メジャーキーの中に少し陰りや哀愁を加えることができます。
ただし、最初からすべてのフレーズにブルーノートを入れる必要はありません。
例えば、
1ループ目:比較的安定したメロディー
2ループ目:ブルーノートを追加
というように使い分けるだけでも、同じフレーズの繰り返しに変化を与えられます。
「何か変化を加えたいけれど、メロディーそのものを大きく変えたくない」という場合にも有効な方法です。
16分音符を入れすぎない
メロディー制作では、細かい音符を増やせば表現力が高くなるとは限りません。
今回の制作でも、16分音符を使う際に裏側から入りすぎる傾向が確認されました。
一方で、16分音符を使っていない部分では自然なシンコペーションができていました。
これは重要なポイントです。
細かい音符を追加することよりも、
「どこで音を鳴らさないか」
を考える方が、結果的にリズムの良いメロディーになることがあります。
メロディーを作っていて「なんとなく忙しい」と感じたら、音を追加する前に、いくつかの音を削ってみるのも一つの方法です。
小室進行をそのまま使わず、Sus2・Sus4で変化させる

メロディーが完成したら、次はコード進行を考えます。
今回の制作では、まず小室進行をベースとして使用しました。
小室進行は代表的なポップスのコード進行の一つで、Am → F → G → Cなどの形がよく知られています。
定番進行は非常に使いやすい反面、そのまま使用すると既視感が出ることもあります。
そこで活用できるのがSus2やSus4です。
Sus2とは?
Sus2は、メジャーコードやマイナーコードの3度の音を2度へ置き換えるコードです。
例えば、
C → C・E・G
Csus2 → C・D・G
となります。
3度のEをDへ移動するだけですが、コードの明るさが少し曖昧になり、浮遊感のある響きになります。
Sus4とは?
Sus4は、3度の音を4度へ置き換えます。
Cなら、
C → C・E・G
Csus4 → C・F・G
となります。
Sus2とは違った緊張感が生まれ、そこから通常のコードへ戻すことで「解決」を作ることもできます。
例えば、
Csus4 → C
とすれば、FがEへ移動することで緊張が解消されます。
定番コード進行は「素材」として使う

重要なのは、定番進行を避けることではありません。
むしろ、よく知られたコード進行を出発点として、そこから自分の曲に合うように加工する方が効率的です。
今回も小室進行をベースに、FやGのコードへSus2・Sus4などを組み込みました。
すると、元の進行が持っていたポップスらしい安定感を残しながら、より個性的な響きを作ることができます。
「オリジナルのコード進行をゼロから作らなければならない」と考える必要はありません。
既存の進行を素材として、
- Sus2にする
- Sus4にする
- セブンスを加える
- テンションを加える
- ボイシングを変える
といった加工を行うだけでも、かなり印象は変わります。
コードとメロディーがぶつかったら、原因を探す
コード進行を作った後は、必ずメロディーと重ねて確認します。
今回も、ある小節でコードとメロディーが「ガチャン」とぶつかる箇所がありました。
原因は、メロディーが3度の音を使用しているのに対し、コード側がSus4になっていたことでした。
つまり、
メロディー:3度
コード:4度
という状態になり、隣り合った音が強く衝突していたわけです。
この場合、必ずしもメロディーを修正する必要はありません。
今回のケースでは、Gsus4をG9へ変更することで、メロディーを活かしたまま問題を解決しました。
これはコードアレンジで非常に重要な考え方です。
「不協和音が鳴ったからメロディーが間違っている」と考えるのではなく、
「メロディーとコードのどちらを変更すれば、曲として一番良くなるか」
を考えます。
スケール外の音が原因とは限らない

コードを変更するときには、スケールとの関係も確認する必要があります。
今回、Gキーでセブンスコードを試した際にFが入ってしまい、違和感が生じる場面がありました。
Gメジャーの7度はF#です。
そのため、Gメジャーセブンスは、
G・B・D・F#
となります。
一方、Fを入れたG7はGメジャーキーのダイアトニックなGM7とは異なる響きになります。
ここで重要なのは、「スケール外の音=絶対に使ってはいけない」ということではありません。
スケール外の音を意図的に使うことも、作曲では重要なテクニックです。
ただし、意図せずスケール外の音が入っている場合は、不協和の原因になります。
違和感があったら、
「この音はキーの中にあるのか?」
を確認する習慣をつけると、問題の原因を特定しやすくなります。
代理コードを使って響きを変える

コードを変更するときには、代理コードという考え方も役立ちます。
例えばEマイナーとGメジャーは、
E・G・B
G・B・D
というように、GとBという共通音を持っています。
このように複数の構成音を共有するコードは、似た機能や響きを持つため、代理として利用できる場合があります。
コード進行を大きく変えずに雰囲気だけを変えたい場合には、こうした共通音を利用したコード置換が有効です。
ボイシングを変えるだけでもコードは別物になる
同じコードネームでも、音の配置によって印象は大きく変わります。
これがボイシングです。
例えば、コードの構成音をすべて近い位置に集めるのか、それとも低音域と高音域に分散させるのかによって、響き方は大きく変化します。
特に低音域では音が密集すると濁りやすいため、広めの音程を取ることが重要です。
また、前後のコードとの音の距離を近づけることで、滑らかなコード進行を作ることもできます。
「コード進行は決まったけれど、なんとなく響きが気に入らない」という場合は、コードネームを変更する前にボイシングを変更してみるのもおすすめです。
メロディーとコードは「後から組み合わせる」ことができる

今回の制作で特に重要だったのは、メロディーとコードを完全に固定された関係として考えなかったことです。
まずディグリーを基準にメロディーを作る。
その後でコード進行を当てはめる。
そして、実際に重ねて聴いてみる。
違和感があれば、
- メロディーを変更する
- コードを変更する
- Sus2 / Sus4を使う
- セブンスやテンションを加える
- 代理コードへ置き換える
- ボイシングを変更する
というように、複数の選択肢から原因を解決します。
この考え方を身につけると、「コードを作ったらメロディーが乗らない」という問題に対しても、柔軟に対応できるようになります。
Aメロ・Bメロ・サビを組み合わせて曲の骨格を作る
メロディーとコードが固まってきたら、各セクションを並べて楽曲全体の構成を確認します。
今回の制作でも、Aメロ・Bメロ・サビとして作ったパーツをコピー&ペーストしながら、実際の楽曲としてつなげていきました。
ここで重要なのは、各セクションを単独で完成させることだけではありません。
AメロからBメロへ移動したときに自然に聞こえるか。
Bメロからサビへ向かう期待感があるか。
1番と2番で同じことを繰り返しすぎていないか。
こうした「曲全体の流れ」を確認する必要があります。
特に、Aメロ・Bメロ・サビというパーツが揃った段階では、細部を作り込む前に一度つなげて聴いてみることが重要です。
曲の骨格が完成してから、必要な楽器や音色を割り当てていく方が、制作全体を整理しやすくなります。
まとめ:作曲では「正解を探す」より「選択肢を増やす」

今回の制作から学べる最大のポイントは、メロディーやコードに対して最初から一つの正解を決めないことです。
メロディーはディグリーを基準に作る。
終着音を先に決める。
1・3・5度を安定音として利用する。
必要に応じてブルーノートを加える。
コード進行は定番進行を出発点としてもよい。
Sus2・Sus4で響きを変える。
メロディーとコードがぶつかったら、どちらか一方を修正する。
代理コードやボイシングも選択肢に入れる。
こうして「使える引き出し」を増やしていくことが、DTMでオリジナリティのある楽曲を作るための近道です。
特に、メロディー制作で行き詰まったときは、最初から完璧な8小節を作ろうとするのではなく、「始まりの音」と「終わりの音」を決め、その間をディグリーで埋めてみてください。
そしてコードは後から自由に入れ替える。
この順番で考えるだけでも、作曲に対する自由度は大きく変わります。
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