ディグリーから作るメロディーとコード進行|DTMで個性的な楽曲を作る方法

コード進行・音楽理論

DTMで作曲をしていると、「コード進行は作れるけれど、メロディーがうまく乗らない」「コード進行がどうしても似たようなものになる」と悩むことがあります。

こうした問題を解決する方法の一つが、メロディーとコードを最初から一緒に考えないことです。

今回の楽曲制作では、まずディグリー(度数)を基準にメロディーを作り、その後からコード進行を当てはめる方法を実践しました。

さらに、定番の小室進行をSus2・Sus4やセブンスコードで変化させ、メロディーとコードがぶつかった場合には、ボイシングやコードそのものを調整していきます。

今回は、この制作過程を通して、DTMでメロディーとコード進行を作る際に役立つ考え方を解説します。

メロディーは「コード」ではなく「ディグリー」から作る

Akashic DTM教室の代表、Ikumi Magataの作業風景

メロディーを作るとき、最初からコード進行を細かく決めてしまう方法があります。

もちろん、それでも問題ありません。

しかし、コード進行を先に固定すると、「このコードだから、この音しか使えない」という制約が強くなり、メロディーが似たような形になってしまうことがあります。

そこで今回は、コードを細かく意識せず、ディグリーを基準にメロディーを作りました。

ディグリーとは、キーの中で音を何度と数えるかという考え方です。

例えばGメジャーなら、

1度=G
2度=A
3度=B
4度=C
5度=D
6度=E
7度=F#

となります。

メロディーを作る段階では、「Gという音を使う」という固定された考え方ではなく、「1度から始める」「5度へ移動する」といったように、度数で旋律を考えます。

この方法のメリットは、後からコード進行を変更しやすいことです。

まず「出発点」と「終着点」を決める

Akashic DTM教室の機材写真

メロディーをゼロから作る場合、最初からすべての音を決めようとすると迷いやすくなります。

そこで有効なのが、

「最初の音」と「最後の音」を先に決める

という方法です。

例えば、フレーズの最後をG(1度)にすると決めたら、そこへ向かうまでの音を後から埋めていきます。

これは、絵を描くときに最初に補助線を引いておく感覚に近い方法です。

すべてを自由にするのではなく、最初と最後に基準点を作ることで、その間のメロディーを考えやすくなります。

特に1度・3度・5度は安定感のある音なので、メロディーを作り始めるときの基準として使いやすい音です。

一方、途中であえて安定しない音へ移動させることで、メロディーに緊張感や表情を作ることもできます。

「明るいメロディー」と「暗いメロディー」は重心で変えられる

Akashic DTM教室の代表、Ikumi Magataの作業スタジオ

同じキーの中でも、どの音をメロディーの中心として扱うかによって印象は変わります。

明るい印象を作りたい場合は、メジャーキーの1度を重心として意識します。

反対に、暗い印象を作りたい場合は、並行短調の1度へ重心を移す方法があります。

つまり、使用している音が大きく変わらなくても、「どこを中心として聴かせるか」によって印象を変えられるということです。

これは、単純にメジャーコードとマイナーコードを入れ替えるだけでは作れない、メロディーそのものによる感情表現です。

安定したメロディーに「ブルーノート」を加える

Akashic DTM教室の機材写真

今回制作したメロディーでは、キーGに対してBbが使われていました。

Gメジャーの3度はBですが、それを半音下げたBbは♭3にあたります。

このような音はブルーノートとして機能し、メジャーキーの中に少し陰りや哀愁を加えることができます。

ただし、最初からすべてのフレーズにブルーノートを入れる必要はありません。

例えば、

1ループ目:比較的安定したメロディー
2ループ目:ブルーノートを追加

というように使い分けるだけでも、同じフレーズの繰り返しに変化を与えられます。

「何か変化を加えたいけれど、メロディーそのものを大きく変えたくない」という場合にも有効な方法です。

16分音符を入れすぎない

メロディー制作では、細かい音符を増やせば表現力が高くなるとは限りません。

今回の制作でも、16分音符を使う際に裏側から入りすぎる傾向が確認されました。

一方で、16分音符を使っていない部分では自然なシンコペーションができていました。

これは重要なポイントです。

細かい音符を追加することよりも、

「どこで音を鳴らさないか」

を考える方が、結果的にリズムの良いメロディーになることがあります。

メロディーを作っていて「なんとなく忙しい」と感じたら、音を追加する前に、いくつかの音を削ってみるのも一つの方法です。

小室進行をそのまま使わず、Sus2・Sus4で変化させる

Akashic DTM教室の講師、Gonのプロフィール写真

メロディーが完成したら、次はコード進行を考えます。

今回の制作では、まず小室進行をベースとして使用しました。

小室進行は代表的なポップスのコード進行の一つで、Am → F → G → Cなどの形がよく知られています。

定番進行は非常に使いやすい反面、そのまま使用すると既視感が出ることもあります。

そこで活用できるのがSus2やSus4です。

Sus2とは?

Sus2は、メジャーコードやマイナーコードの3度の音を2度へ置き換えるコードです。

例えば、

C → C・E・G
Csus2 → C・D・G

となります。

3度のEをDへ移動するだけですが、コードの明るさが少し曖昧になり、浮遊感のある響きになります。

Sus4とは?

Sus4は、3度の音を4度へ置き換えます。

Cなら、

C → C・E・G
Csus4 → C・F・G

となります。

Sus2とは違った緊張感が生まれ、そこから通常のコードへ戻すことで「解決」を作ることもできます。

例えば、

Csus4 → C

とすれば、FがEへ移動することで緊張が解消されます。

定番コード進行は「素材」として使う

Akashic DTM教室の講師、Gonの作業風景

重要なのは、定番進行を避けることではありません。

むしろ、よく知られたコード進行を出発点として、そこから自分の曲に合うように加工する方が効率的です。

今回も小室進行をベースに、FやGのコードへSus2・Sus4などを組み込みました。

すると、元の進行が持っていたポップスらしい安定感を残しながら、より個性的な響きを作ることができます。

「オリジナルのコード進行をゼロから作らなければならない」と考える必要はありません。

既存の進行を素材として、

  • Sus2にする
  • Sus4にする
  • セブンスを加える
  • テンションを加える
  • ボイシングを変える

といった加工を行うだけでも、かなり印象は変わります。

コードとメロディーがぶつかったら、原因を探す

コード進行を作った後は、必ずメロディーと重ねて確認します。

今回も、ある小節でコードとメロディーが「ガチャン」とぶつかる箇所がありました。

原因は、メロディーが3度の音を使用しているのに対し、コード側がSus4になっていたことでした。

つまり、

メロディー:3度
コード:4度

という状態になり、隣り合った音が強く衝突していたわけです。

この場合、必ずしもメロディーを修正する必要はありません。

今回のケースでは、Gsus4をG9へ変更することで、メロディーを活かしたまま問題を解決しました。

これはコードアレンジで非常に重要な考え方です。

「不協和音が鳴ったからメロディーが間違っている」と考えるのではなく、

「メロディーとコードのどちらを変更すれば、曲として一番良くなるか」

を考えます。

スケール外の音が原因とは限らない

Akashic DTM教室の機材写真

コードを変更するときには、スケールとの関係も確認する必要があります。

今回、Gキーでセブンスコードを試した際にFが入ってしまい、違和感が生じる場面がありました。

Gメジャーの7度はF#です。

そのため、Gメジャーセブンスは、

G・B・D・F#

となります。

一方、Fを入れたG7はGメジャーキーのダイアトニックなGM7とは異なる響きになります。

ここで重要なのは、「スケール外の音=絶対に使ってはいけない」ということではありません。

スケール外の音を意図的に使うことも、作曲では重要なテクニックです。

ただし、意図せずスケール外の音が入っている場合は、不協和の原因になります。

違和感があったら、

「この音はキーの中にあるのか?」

を確認する習慣をつけると、問題の原因を特定しやすくなります。

代理コードを使って響きを変える

Akashic DTM教室の機材写真

コードを変更するときには、代理コードという考え方も役立ちます。

例えばEマイナーとGメジャーは、

E・G・B
G・B・D

というように、GとBという共通音を持っています。

このように複数の構成音を共有するコードは、似た機能や響きを持つため、代理として利用できる場合があります。

コード進行を大きく変えずに雰囲気だけを変えたい場合には、こうした共通音を利用したコード置換が有効です。

ボイシングを変えるだけでもコードは別物になる

同じコードネームでも、音の配置によって印象は大きく変わります。

これがボイシングです。

例えば、コードの構成音をすべて近い位置に集めるのか、それとも低音域と高音域に分散させるのかによって、響き方は大きく変化します。

特に低音域では音が密集すると濁りやすいため、広めの音程を取ることが重要です。

また、前後のコードとの音の距離を近づけることで、滑らかなコード進行を作ることもできます。

「コード進行は決まったけれど、なんとなく響きが気に入らない」という場合は、コードネームを変更する前にボイシングを変更してみるのもおすすめです。

メロディーとコードは「後から組み合わせる」ことができる

Akashic DTM教室の代表、Ikumi Magataの作業風景

今回の制作で特に重要だったのは、メロディーとコードを完全に固定された関係として考えなかったことです。

まずディグリーを基準にメロディーを作る。

その後でコード進行を当てはめる。

そして、実際に重ねて聴いてみる。

違和感があれば、

  • メロディーを変更する
  • コードを変更する
  • Sus2 / Sus4を使う
  • セブンスやテンションを加える
  • 代理コードへ置き換える
  • ボイシングを変更する

というように、複数の選択肢から原因を解決します。

この考え方を身につけると、「コードを作ったらメロディーが乗らない」という問題に対しても、柔軟に対応できるようになります。

Aメロ・Bメロ・サビを組み合わせて曲の骨格を作る

メロディーとコードが固まってきたら、各セクションを並べて楽曲全体の構成を確認します。

今回の制作でも、Aメロ・Bメロ・サビとして作ったパーツをコピー&ペーストしながら、実際の楽曲としてつなげていきました。

ここで重要なのは、各セクションを単独で完成させることだけではありません。

AメロからBメロへ移動したときに自然に聞こえるか。

Bメロからサビへ向かう期待感があるか。

1番と2番で同じことを繰り返しすぎていないか。

こうした「曲全体の流れ」を確認する必要があります。

特に、Aメロ・Bメロ・サビというパーツが揃った段階では、細部を作り込む前に一度つなげて聴いてみることが重要です。

曲の骨格が完成してから、必要な楽器や音色を割り当てていく方が、制作全体を整理しやすくなります。

まとめ:作曲では「正解を探す」より「選択肢を増やす」

Akashic DTM教室の代表、Ikumi Magataの作業風景

今回の制作から学べる最大のポイントは、メロディーやコードに対して最初から一つの正解を決めないことです。

メロディーはディグリーを基準に作る。

終着音を先に決める。

1・3・5度を安定音として利用する。

必要に応じてブルーノートを加える。

コード進行は定番進行を出発点としてもよい。

Sus2・Sus4で響きを変える。

メロディーとコードがぶつかったら、どちらか一方を修正する。

代理コードやボイシングも選択肢に入れる。

こうして「使える引き出し」を増やしていくことが、DTMでオリジナリティのある楽曲を作るための近道です。

特に、メロディー制作で行き詰まったときは、最初から完璧な8小節を作ろうとするのではなく、「始まりの音」と「終わりの音」を決め、その間をディグリーで埋めてみてください。

そしてコードは後から自由に入れ替える。

この順番で考えるだけでも、作曲に対する自由度は大きく変わります。

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