リミックスコンテストの勝ち方|国際コンテストで1位を取った制作の進め方

音楽の仕事・キャリア

「リミックスコンテストに挑戦してみたいけれど、何から始めればいいのか分からない」「応募しても入賞できない」。そんな方に向けて、私が国際リミックスコンテストで結果を出したときの進め方をまとめました。

私はこれまでに、次のコンテストで評価をいただきました。

  • Warner Music主催の国際リミックスコンテスト:Indie Pop部門1位。Mixing・Mastering・Arrangementの評価点でも1位
  • 海外の音楽コミュニティSKIO主催の国際リミックスコンテスト:Indie Dance部門Top 3、Mastering部門1位、Arrangement部門2位、Mixing部門3位
  • イギリスのレーベルAlmighty 1 Music主催のリミックスコンペ:入選

一方で、落選した経験もあります。その違いも含めて、コンテストの選び方から制作の進め方までを解説します。

結論:グルーヴは変えず、サウンドで個性を出す

DAWコントローラーとキーボードを操作してミックスを仕上げる手元

私がリミックスで最も大切にしているのは、原曲のテンポ・キー・グルーヴは変えず、コードとサウンドで自分らしさを出すことです。原曲のノリを守ることで、ボーカルが自然に乗り、聴く人にも「あの曲のリミックス」だと伝わります。そのうえで、コードやシンセの音色を大きく変えて個性を出します。

もう一つ大切なのが、工程ごとに期限を決めて進めることです。コンテストには必ず締め切りがあります。期限の中で、アレンジからマスタリングまでを仕上げきることが、結果につながります。

リミックスコンテストはどこで探す?

私がコンテストを見つけたのは、海外の音楽コミュニティSKIOと、デモ提出サービスのLabelRadarです。LabelRadarはレーベルへのデモ提出だけでなく、リミックスコンテストにも参加できるサービスです(運営元による紹介記事)。LabelRadarの使い方は海外レーベルへのデモの送り方でも紹介しています。

手順1:参加するコンテストを選ぶ

コンテストを選ぶときに基準にしているのは、原曲のジャンルです。自分の得意なジャンルに近い曲を選ぶと、アレンジの引き出しを活かせます。

あわせて、自分が知っている曲かどうかも考えます。原曲をよく知っていれば、どこが聴きどころで、何を残すべきかを判断しやすくなるからです。

手順2:ステムを聴き込み、残す素材を決める

原曲のステム(パラデータ)を受け取ったら、まず次の順で確認します。

ボーカルを繰り返し聴く

最初にボーカルを何度も聴き、追加の処理が必要かを検討します。多くの場合は何もしなくて問題ありません。ただ、リミックスでオケを作り直すと、ボーカルが音量的に埋もれてしまうことがあります。そのため、ボーカルの音量の幅と周波数をチェックしておきます。

原曲のステムから残すものを決める

次に、原曲のステムのどれを残すかを決めます。たとえば、原曲のスネアのレイヤーがそのまま使える音だったり、ベースをそのまま使ったほうが原曲のノリを出しやすかったりします。すべてを作り直すのではなく、使える素材は活かすのが効率的です。

手順3:工程ごとに期限を決める

私は、次のように工程ごとの日数をルールとして決めて制作していました。

工程日数
アレンジ7日
レコーディング3日
ミキシング3日
マスタリング2日

工程ごとに期限を決めておくと、アレンジに時間を使いすぎて、ミックスやマスタリングが雑になるのを防げます。後で紹介する落選の経験は、まさにここが原因でした。

手順4:テンポ・キー・グルーヴは変えずにアレンジする

アレンジでは、テンポとキーはまったく変えません。原曲のテンポを解析し、細かいグルーヴまでDAW上で再現できるようにします。グルーヴは絶対に変えないと決めています。

そのかわり、ほかの部分は大きく変えます。コードを大幅に変え、自分らしいシンセサウンドを取り入れて、原曲とはまったく違う響きにします。「ノリは原曲、サウンドは自分」というバランスです。リミックスの基本的な手順はリミックスのやり方で解説しています。

手順5:ほかの応募曲に埋もれない音量に仕上げる

私が参加したコンテストには、音量(LUFS)の制限がありませんでした。そのため、ほかの応募曲と並べて聴かれたときに、音が小さく聴こえてしまう可能性があります。

そこでコンテストでは、平均-9 LUFS、トゥルーピーク-1 dBTPと、かなり大きな音量に仕上げました。海外レーベルに送るデモでは-11 LUFS、-2 dBTPを基準にしているので、それよりも大きくしています。応募する前に、コンテストの規定に音量の指定がないかは必ず確認してください。

1位を取った曲で工夫したこと

DAWのミキサー画面を映したモニターとスピーカーが並ぶ制作スタジオ

Warner Music主催のコンテストで1位をいただいた曲では、特に次の3つを工夫しました。

スイングの強いグルーヴを維持する

原曲はスイングの激しい曲でした。そこで、テンポ解析とオーディオスライドツールを使って、原曲のグルーヴをそのまま維持しました。

前半と後半で編曲を大きく変える

曲の前半はEDMらしい編曲にし、後半は激しいバンドサウンドに切り替えて、展開に大きな変化をつけました。

ミックスとマスタリングをEDMのヒット曲に近づける

ミキシングとマスタリングは、EDMのヒット曲と似た仕上がりになるように調整しました。結果として、Mixing・Mastering・Arrangementのすべての評価点で1位をいただきました。

落選した経験から学んだこと

実は、Warner Music主催のコンテストでも、一度落選したことがあります。当時はリミックスの経験が足りず、ボーカルに合わせたオケを作ることで精一杯でした。その結果、編曲・ミキシング・マスタリングのどれにも十分な時間をかけられませんでした。

この経験から、工程ごとに日数を決めて進めるようにしました。ボーカルに合わせることは出発点にすぎません。仕上げにかける時間を最初から確保しておくことが大切です。

コンテストに参加して得られたもの

コンテストでの結果は、その後の仕事にもつながりました。

  • 海外の方から、ミキシングの依頼を受けることが多くなった
  • レーベルとのつながりが強くなり、リリースの数も増えた

コンテストの結果は、第三者に評価された実績として、仕事の入口になります。作曲・DTMで収入を得るルート全体については作曲・DTMを仕事にする方法|プロ・副業で収入を得る5つのルートをご覧ください。

よくある質問

Q. 初心者でもリミックスコンテストに参加していいですか?

ぜひ参加してください。リミックスコンテストは、期限を守って音楽を仕上げる経験が誰でもできる場です。結果にかかわらず、締め切りまでに1曲を完成させる経験そのものが、仕事として音楽をするための練習になります。

Q. 原曲のテンポやキーは変えてもいいですか?

規定で禁止されていなければ変えることもできますが、私は変えません。テンポとグルーヴを守ることで、ボーカルが自然に乗り、原曲の魅力を残したまま自分のサウンドを聴かせられるからです。

Q. ボーカルには処理を加えるべきですか?

多くの場合、大きな処理は必要ありません。ただし、新しいオケの中で埋もれないように、音量の幅と周波数は確認しておきましょう。

まとめ

  • コンテストは原曲のジャンルと、自分が知っている曲かどうかで選ぶ
  • ステムを聴き込み、ボーカルの音量と周波数、残す素材を確認する
  • アレンジ・レコーディング・ミキシング・マスタリングの日数を先に決める
  • テンポ・キー・グルーヴは変えず、コードとサウンドで個性を出す
  • 規定に音量の指定がなければ、ほかの応募曲に埋もれない音量に仕上げる

コンテストで通用する音を作りたい方へ

Akashic DTM教室のミックス講座では、国際コンテストで評価されたミックスとマスタリングの考え方を、マンツーマンでお伝えしています。アレンジから学びたい方は作曲講座もご覧ください。自分の曲がどこまで通用するか知りたい方は、無料体験レッスンでご相談ください。

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