海外レーベルへのデモの送り方|20社に送って3社からオファーを得た実体験

音楽の仕事・キャリア

「海外のレーベルから曲をリリースしてみたい」「でも、デモをどこに、どうやって送ればいいのか分からない」。そんな方に向けて、私が実際に海外レーベルと契約したときのやり方をまとめました。

私はこれまでに、インドのRAX Label、イギリスのPurple FlyやAlmighty 1 Musicから作品をリリースしてきました。海外レーベルを探した際には、20のレーベルにデモを送り、3つのレーベルからオファーを受けました。その経験をもとに、レーベルの選び方から、送り方、契約・リリースまでの流れを解説します。

結論:海外レーベルは「すぐにリリースできる音」かを見ている

Akashic DTM教室の代表、Ikumi Magataの作業スタジオ

最初に結論をお伝えします。海外レーベルにデモを送るときに最も大切なのは、そのままリリースできる品質まで仕上げてから送ることです。

日本のレーベルには、作曲や作詞を丁寧に育ててくれるところもあります。一方、私が契約した海外レーベルで指導を受けたのはサウンド面だけでした。そのかわり、サウンドについてはかなり厳しく判断されます。曲のアイデアが良くても、ミックスやマスタリングが基準に届いていなければ、契約には進みません。

私が海外レーベルと契約するまで

私は21歳で国内のSwan Song Recordsとアーティスト契約し、シングルを発表したのが音楽の仕事の始まりです。その後、バンドの解散をきっかけにコンピューターミュージックへ移り、海外のレーベルにデモを送るようになりました。

  • 2023年:インドのRAX Labelと契約し、シングルをリリース
  • 2025年:イギリスのPurple Flyと契約し、2作品をリリース
  • 2026年:イギリスのAlmighty 1 Musicから作品をリリースし、その後、同レーベル主催のリミックスコンペで入選

このほか、デンマークのレーベルからもオファーをいただきましたが、デンマーク語とドイツ語が分からなかったため、英語でやり取りできるレーベルを選びました。

手順1:送るレーベルを選ぶ

私がレーベルを選ぶときに基準にしたのは、次の3つです。

  1. ジャンルが合っているか:自分の曲と同じジャンルを扱っているレーベルを選びます。
  2. 所属アーティストの実績:どんなアーティストが所属し、どんな活動をしているかを確認します。
  3. リリース済みの曲のクオリティ:特に重視したポイントです。レーベルが出している曲の音質は、そのレーベルが求める基準そのものだからです。

加えて、契約やリリースの細かなやり取りが発生するので、自分が使える言語でやり取りできるかも確認しておくと安心です。

手順2:デモを「海外基準の音」に仕上げる

私は、送るデモはすべてマスタリングまで済ませた完成版にしていました。

それでも、最初からうまくいったわけではありません。返事が来なかったり、断られたりした経験はたくさんあります。デモ提出サービスに載っているようなレーベルは、すぐにリリースできるクオリティを求めます。そこで私は、ミキシングとマスタリングを大幅に見直し、海外の基準に合う音に作り直しました。

具体的には、音圧は多くのEDM楽曲で使われている手法を取り入れ、-11 LUFS、トゥルーピーク -2 dBTPを基準にしました。そのうえで、Aviciiの「Wake Me Up」やMartin Garrixの「Scared to Be Lonely」といったEDMのヒット曲と聴き比べながら、ミックスのバランスを整えました。

自分の曲が基準に届いているかを確かめるには、送りたいレーベルのリリース曲と聴き比べるのが近道です。ミックスの基本はミックスのやり方|EQ・コンプ・ゲインステージングの基本、仕上げの音量についてはマスタリングのやり方|LUFS・トゥルーピーク・リミッターで解説しています。

手順3:提出方法を選ぶ

私がデモを送った方法は、次の2つです。

レーベルのデモ提出フォーム

デモを受け付けているレーベルは、公式サイトに提出フォームを用意していることがあります。気になるレーベルのサイトを確認し、案内に沿って送ります。

LabelRadar

LabelRadarは、世界中のレーベルにデモを提出できるサービスです。Beatportグループが運営していて、無料プランもあります(運営元による紹介記事)。RAX LabelとPurple Flyは、このLabelRadarで見つけました。ジャンルごとにデモを受け付けているレーベルを探せるので、まだ知らなかったレーベルに出会えるのが利点です。

手順4:送る理由と、自分が貢献できることを書く

デモと一緒に送る文面には、次の2つを書きました。

  • なぜそのレーベルを選んだのか
  • 自分がレーベルにとって、どんなポジティブな影響をもたらせるのか

レーベルは毎日多くのデモを受け取っています。「どのレーベルにも送れる文面」ではなく、そのレーベルに向けて書いた文面であることが伝わると、聴いてもらえる可能性が上がります。

英語の文面は自分で書き、文法のチェックだけAIなどで行いました。英語に自信がない方も、まず自分の言葉で内容を決めてから、翻訳やチェックにツールを使うのがおすすめです。

送ったあとの流れ:オファーから契約・リリースまで

ステージ照明に照らされたライブ会場の観客(プロとしての音楽活動のイメージ)

私の場合の結果と流れは次の通りです。

送ったレーベルの数20
オファーがあったレーベル3
契約に至るまでの期間約1か月
契約からリリースまでレーベルにより異なり、最長で約半年

断られたレーベルからも、簡単ではありますが理由が書かれた返事が届きました。こうした返事は、次に送る曲を改善するための貴重な材料になります。

契約したあとも、すぐにリリースされるわけではありません。リリースまでの間に、レーベルからミックスやマスタリングの修正指示を受け、それを反映して仕上げました。ここでも、サウンド面の基準の高さを感じました。

日本のレーベルと海外レーベルの違い

国内と海外の両方のレーベルと仕事をして感じた違いをまとめます。あくまで私が契約したレーベルでの経験です。

日本のレーベル(私の経験)海外レーベル(私の経験)
教えてくれること作曲・作詞を丁寧に教えてくれるサウンド面のみ。そのかわり判断はかなり厳しい
サウンドへの関わりレコーディング後は自分が関われる部分が少なかった修正指示を受けながら、自分で仕上げる

日本のレーベルに所属していた頃は、レコーディングの後に自分が関われることが少なく、望むサウンドにはなりませんでした。自分の音に責任を持って最後まで仕上げたい人には、海外レーベルは相性の良い選択肢です。

よくある質問

Q. 英語が得意でなくても、海外レーベルに送れますか?

文面は翻訳やチェックのツールを使えば用意できます。ただし、契約後はやり取りが続くので、英語でやり取りできるレーベルを選ぶことをおすすめします。私も、言葉の問題からデンマークのレーベルのオファーは見送りました。

Q. デモはラフの状態で送ってもいいですか?

私はおすすめしません。デモ提出サービスに載っているようなレーベルは、すぐにリリースできる品質を求めています。マスタリングまで済ませた完成版を送りましょう。

Q. 断られたら、どうすればいいですか?

理由が書かれていれば、それをもとに曲を直して、別のレーベルに送ります。私も断られる経験を重ねながら、ミックスとマスタリングを作り直してオファーにつなげました。

まとめ

  • レーベルは、ジャンル、所属アーティストの実績、リリース済みの曲のクオリティで選ぶ
  • デモはマスタリングまで済ませ、すぐにリリースできる品質で送る
  • 提出はレーベルのデモ提出フォームやLabelRadarを使う
  • 文面には、そのレーベルを選んだ理由と、自分が貢献できることを書く
  • 断られても理由を次に活かし、送り続ける

リリース以外も含めた、作曲・DTMで収入を得る方法の全体像は作曲・DTMを仕事にする方法|プロ・副業で収入を得る5つのルートで解説しています。完成した曲の発表先についてはDTMで作った曲はどこに発表する?もあわせてご覧ください。

海外レーベルに通用する音を作りたい方へ

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