Cubaseミックスでボーカルが埋もれる原因と対処法を解説
「ボーカルが聞こえない。」
ミックス初心者の方から最もよく相談される悩みのひとつです。
そこで多くの人は、
- ボーカルのフェーダーを上げる
- コンプレッサーを強くかける
- 高域をブーストする
といった対処を行います。
しかし実際には、ボーカルそのものではなく、ギターとの帯域のぶつかり合いが原因になっているケースが少なくありません。
今回はAkashic DTM教室の講師であり、300曲以上のミックス・マスタリング経験を持つIkumi Magataが実際のレッスンで解説した内容をもとに、
「ボーカルを前に出すためのEQの考え方」
を初心者向けに解説します。
ボーカルが埋もれるのは音量の問題ではない

ミックス初心者ほど、
「聞こえないなら音量を上げればいい」
と考えがちです。
しかし実際のミックスでは、単純にフェーダーを上げても解決しないことがよくあります。
なぜなら、人間は同じ帯域に存在する音を同時に認識するのが苦手だからです。
例えば、
- ボーカル
- リズムギター
- シンセ
が同じ帯域に集中している場合、
ボーカルを上げてもギターを上げても、お互いを邪魔し合うだけになります。
つまり、
ボーカルを前に出すには「ボーカルを上げる」のではなく「他の楽器の場所を空ける」ことが重要です。
Cubaseでまず見直したいギターのEQ

今回のレッスンでは、リズムギターに対して次の帯域をカットしていました。
1kHz

最も重要なポイントです。
この帯域には、
- 歌詞の聞き取りやすさ
- ビブラート
- 声の芯
が存在しています。
ギター側を約3dBカットすることで、ボーカルが自然に前へ出てきます。
音色変化は最小限ですが、聞こえ方は大きく変わります。
2.5kHz

次に注目したいのが2.5kHz付近です。
ここはギターの存在感が強く現れる帯域でもあります。
しかし同時にボーカルの明瞭度にも大きく関係しています。
この帯域も約3dB程度カットすることで、ギターのキャラクターを保ちながらボーカルの居場所を確保できます。
10kHz

意外と見落とされるのが高域です。
10kHz付近には、
- 息遣い
- ハスキー感
- 子音の伸び
などが含まれています。
特に
- ガ
- ザ
- ダ
といった発音の抜けに影響します。
ギターがこの帯域を占有している場合、ボーカルが曇って聞こえることがあります。
そのため、ここも少しだけ整理すると効果的です。
EQはブーストよりカットを優先する

初心者の方は、
「ボーカルを前に出したいから3dBブーストしよう」
と考えがちです。
しかしプロの現場では逆の発想を使います。
例えば、
- ボーカルを3dB上げる
ではなく、
- ギターを3dB下げる
という考え方です。
この方法なら、
- ヘッドルームを維持できる
- 音が不自然になりにくい
- ミックス全体が整理される
というメリットがあります。
実際のミックスでも、まずは不要な帯域を取り除く作業から始めることが多いです。
スネアの箱鳴りも見逃せない

ボーカルが埋もれる原因はギターだけではありません。
ドラムにも同じことが言えます。
特にスネアの500Hz付近には、
「洗面器を叩いたような音」
と表現される箱鳴り成分が存在します。
この成分が強すぎると、
- ボーカル
- ギター
- シンセ
の中域が見えにくくなります。
不要な場合はEQで大きくカットすることで、スネア自体は小さく感じないまま、全体の抜けが改善されます。
パンニングも重要なミックス要素

EQだけでは解決できない場合もあります。
そんな時に役立つのがパンニングです。
例えば今回のレッスンでは、
- リードギターを少し右へ配置
- ハイハットを左へ配置
することで左右のバランスを整えていました。
さらにリードギターはオートメーションを使い、
目立たせたいフレーズだけ少し外側へ移動させる方法も紹介されています。
これにより、
真ん中に集中している
- ボーカル
- キック
- ベース
との衝突を減らすことができます。
プラグインを増やす前にフェーダーとEQを見直そう

初心者の方ほど、
- コンプレッサー
- サチュレーター
- マルチバンドコンプ
などを追加したくなります。
しかし今回のレッスンで強調されていたのは、
「まずフェーダー、次にパン、最後にEQ」
という考え方です。
実際には、
- フェーダー調整
- パンニング
- EQ
だけで解決する問題も少なくありません。
プラグインを増やす前に、
「本当にその帯域は必要なのか?」
を考えることが重要です。
まとめ|ボーカルを前に出したいならギターを疑おう

ボーカルが埋もれる原因は、必ずしもボーカルにあるわけではありません。
特にギター主体のロックやポップスでは、
- 1kHz
- 2.5kHz
- 10kHz
付近の帯域が衝突しているケースが非常に多くあります。
そのため、
- ボーカルを上げる前にギターを確認する
- EQはブーストよりカットを優先する
- パンニングで住み分けを作る
- フェーダーとEQで解決できるか考える
という順番で作業してみてください。
ミックスは「音を足す作業」ではなく、「音の居場所を作る作業」です。
この考え方を身につけるだけでも、ボーカルの聞こえ方は大きく変わります。
Cubaseのミックスを体系的に学びたい方へ

Akashic DTM教室では、Cubaseをはじめとした主要DAWに対応したオンラインレッスンを行っています。
今回ご紹介したような、
- ボーカルとギターの住み分け
- EQの考え方
- フェーダーワーク
- プロのミックス手順
などを、実際の楽曲を使いながら学ぶことができます。
独学でミックスに限界を感じている方は、ぜひ体験レッスンをご利用ください。
講師:Ikumi Magata

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